考えることを仕事に。サービスを“デザイン”するとは?|長岡造形大学卒 金井彩月さん

こんにちは、そーです!

今回は今年から東京でサービスデザイナーとして就職された金井彩月さんにお話を聞かせていただきました!デザイナーという職業を志したが故に感じたこと、デザイナーという職種について、サービスデザイナーとは何かを教えていただきました。

就きたい職として「デザイナー」をあげる人は少ない現状にあるかと思いますが、デザイナーの需要はかなり高まってきています。デザインに興味がある学生、デザイナーを志している方は必見です👀

金井彩月(かない さつき)
2000年生まれ。群馬県太田市出身。
長岡造形大学造形学部視覚デザイン学科卒業。春から東京でサービスデザイナーとして就職。
趣味は映画鑑賞、読書、展覧会巡り、絵描き、猫と戯れる、井戸端会議。

長岡造形大学での生活

大学のカリキュラム

長岡造形大学の4年間の流れを教えていただけますか?

まず1年生の時は基礎的な造形力を養うためにデッサンや水彩画、色彩に関する基礎的な学習、デザインソフトの扱いなど幅広く学習します。2年生になると、磨いた基礎を活かして自分の考えやデザイン力を磨く練習の時間に入ります。3年生からは人それぞれで学ぶことが選択によって大きく変わっていきます。

表現コースという自分でテーマを決めて1年間で2つ作品を作りましょうというコースか、伝達コースといって2ヶ月に1回のペースでテーマに合わせて自分の考えをまとめて制作するという二つのコースに分かれてそれぞれの専門領域も合わせて学んでいきます。

4年生になると講義はほぼありません。ただ学んだことの集大成として卒業研究に取り組みます。

私が在籍していた視覚デザイン学科が他の学科と合併してしまってデザイン学科という名前に変わってしまうので、やや学ぶ内容に変化があるかもしれません。ただ基礎からデザインを学んでいくというところは変わりませんし、今まで本格的に絵を描いていた経験が全くないという人でもデザインを学べるところが長岡造形大学一番の強みだと思いますね。

コロナ禍の影響は??

金井さんが2,3年生の頃はコロナ禍の影響で大学での実習や制作が厳しかったのではないかな?と疑問に思ったのですが、実際のところどうでしたか?

2年生の頃は本当にフルリモートでした。びっくりするぐらい大学に行けない時期で、受動的な学びの仕方になっていましたし、2年生の間はすっぽり1年間記憶が抜けちゃったなと感じています。

3年生の頃は緊急事態宣言があったり、なかったりでバタバタしていましたが、周囲の人たちも自分から外に出て行動する人と、家の中で一生懸命制作を頑張るっていう人に分かれていきました。

私は美術系の人たちが使う就活サイトのビビビットに出ている展覧会やオンラインでもできることを探して学校と関係ないところで何か学びを得られないかと頑張っていた時期でもありました。オンラインで参加できるようなことは根こそぎ参加していました!

ありがとうございます!まとめると、大学の流れとしては基本的なところを学んで制作を繰り返して卒業制作を完成させるということですね。

造形大生に何を学んだかと聞くと、十人十色で答えが違うと思います。本当に自分がやりたいことをやる感じです。自分が学びたいことを選択できるのでよく言えば「何者にでもなれる」大学だと思っています。

サービスデザイナーを目指した理由

最初は本や映画のパンフレットがめちゃくちゃ好きで、見た目のデザインに興味があったので大学に入学しました。

コロナ禍の影響もあって先生と会えず、制作が正直あんまり楽しくなかったんですよね。すると見た目が好きだったのに、見た目を作るのがすごく辛くなってしまいました。

ただ色んな制作をしていくうちに、「自分はモノを作るより何をこれから作ろうかな?」と考える方がワクワクしていたことに気づいてきて、先生方から作品のフィードバックをもらうときに多くの先生から企画が面白いねと褒めていただく機会が増えてきたのがきっかけです。時期で言うと2年生の後半くらいでした。

デザイナーと聞くと、ポスターやパッケージの見た目を作るというイメージの方が強いですよね。

「考えることが好きだけど、考えることを仕事にするってできるのかな?」と疑問に思っていた頃に、大学の中でコミュニケーションデザイン、UI/UXデザインというものを担当している教授の方に出会いました。

UI/UXデザイン…アプリ,Webサイトのユーザーがみる見た目(user interface)をユーザーの体験(user experience)を考慮して設計すること。

自分が好きで、得意と感じていたことにUX、サービスという名前がついているのにすごく心強く感じて。そこから作るデザイナーじゃなくて考えるデザイナーになろうと考えました。そこからサービスデザインに関して専門的に学んでいこうと考えていくようになりました。

なりたい!という動機にストーリー性があって素敵ですね!

否定するわけではないんですけど、企画・設計するっていうのは所謂上流の仕事で、「見た目を作る」デザインを経験した上で、キャリアを積んでからUI/UXデザイン・サービスデザインをしていくのかなあと思ったのですが、どうでしょう?

言われてみるとそうですね笑 確かに求人はほとんどないです。サービスデザイナーという職種はほとんどないですね。

私は3年生の頃学外での活動で展覧会をしたときにお会いした企業から3年の12月に内定が決まったので、たまたまと言った方が良いかもしれませんね笑

サービスデザイナーって??

サービスデザインとは

自分は予習しているのでわかっているつもりですが、サービスデザインとは何か読者の方に向けて説明していただけますか?

サービスデザインは土台になるものだと思います。イメージで言うと組体操でいう下にいる人に当たると思います。そこが崩れてしまうと見た目のデザインも崩れてしまうので重要な役割になります。簡単に言うと商品に対して道しるべを考えることだと思っています。

自分のイメージで言うと、商品の規格や、ユーザーが何を求めているかを汲み取ってデザイナーさんに伝える・構想を練る仕事だと思っていました。

デザイナーさんに伝えると言うよりかは01ベースで新しいものを開拓して道を作って、道を綺麗にしていくのがデザイナーさんの役割になると私は思っています笑
難しいですね!笑

仕事内容

会社によってまちまちかと思うんですが、私が勤める会社の場合だと、01ベースで新しいサービスを作る感じです。私の働く業界は人材業界になるので、今の就活生の悩み事を調べて、就活に使っている媒体の調査や企画を立案していくのがサービスデザイナーの仕事になります。

お聞きする限り、ビジネスプランを考えたり、現状を分析してそれに合わせた施策を打つと言うことでコンサルに近いなと思いました。

私の会社だとビジネスとマーケティングとデザイナーの3つの知見が合わさって初めてサービスデザイナーになるという認識です。私はマーケティングやビジネスに関しては初心者なので、これから勉強していかないとなというところです。

デザイナーって見た目を作ったり、仕組みを作ったりするのにも共通して言えるのですが、アプローチの仕方はわかっても人材業界で言えば人材業界の特徴やマーケティング方法を学ばないとデザイナーの力が発揮されないなと感じました。

私の卒業研究の場合、児童心理学を学んでいないといけませんでしたし、たとえば病院のデザインを行う際には病院やがんに対する専門知識が必要になると思います。

デザイナーさんは先ほどお話にあった通り、「土台」を担当することになると思うので、かなり大事な役割になりますね。改めて再確認しました!

”デザイン”と”アート”

そうなると、お絵描きをするのが好きでデザイナーになりました!という人だと将来的に厳しくなってしまうのではないかな?と思いました。

そうだと思います。あとはデザインとアートが一緒じゃないっていう認識がまだまだあまり世間で知られていないなと思いますね。

アートは自分の考えていることを外に出すだけでいいんですけど、相手がわからなくてもそれは自分の世界として認められますよね。ただデザインで一番やってはいけないことで、伝えたいことがあった時にわからない人にもわかるように説明しなくてはいけない。しかも言葉を使わずに。という制約があるので、デザインとアートは虚像関係にあると思います。

実際に大学の教授が頭を悩ませている問題ではあるんですよね。そういう認識って業界にいないとわからないですし、広まらないし、難しい問題だなと感じています。

卒業制作にあたって

金井さんの卒業制作はこちらから見れます!!

卒業制作のテーマ

私の卒業制作として「子供の絵に対して大人の理解を得る」方法を提案するおもちゃを作成しました。

大人に言われたことで絵を嫌いになってしまう子ども達がまだまだ多くいると思うんですよね。絵の上手さだけじゃなくその子なりの良さを知って頂ければ、その子の支えになるのではないかなと考えました。

絵を書くという子どもにとって悪気があってやっているわけではない、楽しむためにしていることにフォーカスして作品を作られたのはどこか素敵だなと感じました。素晴らしいです!

金井さんの作品「こともっと」

これから卒業制作する人に向けて

卒業制作は一年間大量の時間をかけて学んでいくことも多いので、絶対に自分が曲げられないことをテーマにするときっと情熱も出てくるのではないかなと思います。

私のテーマは、高校卒業前にしていた小学校のお手伝い先生みたいな経験から生まれました。卒業制作は自分の経験がベースで題材になってくるものがあるはずなので、色んなことを体験しておくといいと思います。

卒業制作をする時期と就活する時期が重なってくるかと思うので、就活を通じて自分の今まで生きていた時間を振り返って、その中で作品と結びつけるのが合理的でかつ作りやすいかな?と思いました!

あとは、私の場合だと先生でしたが、作ろうと思っているテーマに関わっているプロの方にお話を伺うのも大切だと思います。

自分の考えのまとめ方

自分のやりたいことが頭にあるのにどうしたらいいんだろう?どう動き出せばいいんだろう?というところで悩む方が多く出てくるのかなと思います。

私は言葉にするのが苦手なタイプで色々と文面に起こして考えていました。

特に私の場合は自分なりのわがままがあって、わがままに対してどのように考えている人がいるか、どういう媒体で作るべきか、こういうやり方がいいかな?と検討した上で今までサービスを作ってきました。

なるほど、このような形でまとめられていたのですね!

これからの目標

春から社会人として働かれると思いますが、今後の目標はありますか?

卒業制作のテーマに沿った形で、親子に向けた絵を通じた体験の場をワークショップなど考え中ではあるんですが続けていきたいなと思います。自分が制作したプロダクトが広まったらいいなとも思っています。

もちろんデザイナーはデザインする領域に合わせて知識をつけていくことが必要なので、日々勉強していかないといけないです・・・

1時間にわたってインタビューさせて頂きありがとうございました!!デザイナーさんについて知ることができて大変勉強になりました😀😀

編集後記

読んでいただきありがとうございました!!デザインについて知識がない方はやや置き去りになってしまったかもしれませんが、絵やバナーを作成するという見た目の「デザイン」とは違うデザインについてお聞きしました。デザインに関して勉強中の方に参考になれば幸いです。ありがとうございました!

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