安心して対話できる場づくりを目指して|一般社団法人SOSOTEC

いつも記事を読んでいただき、ありがとうございます!

春休みも終わりに近づき、私は来週から新大学三年生としての生活が始まります。今の大学生は就活への動き出しが早いので、周りでは就活やインターンの話が飛び交うようになってきました。学生終了までのタイムリミットがじわじわと自分の人生に近づいてくる感覚に、「今実際に社会に出て働いている方のお話を聞きたい!」と思い立ったのが昨年の暮れのこと。アット新潟の社会人メンバーにそのお話をすると、すぐに素敵な縁を結んでくださいました。

ということで、今回はインタビューさせていただいたのは、一般社団法人SOSOTEC(そそてっくの河田陽介さんと中原澪佳さん。ワークショップやファシリテーションを通して様々な活動を行うおふたりに、SOSOTECのこれまでとこれからについてお話をお聞きしました。

自分の将来に対して不安感や焦燥感ばかり感じていた私ですが、インタビューを通しておふたりのお話を聞いているうちに、マイナスな気持ちばかりだった胸中にちょっぴりワクワクが顔をのぞかせてくれたような気がします!

河田陽介(かわだ ようすけ)

1986年生まれ。新潟県加茂市出身。

一般社団法人SOSOTECの共同代表主にワークショップでの企画・進行役、SOSOTECキャラクターたちの作画を担当。2022年にSOSOTECとして初仕事が開始。地元加茂市でのワークショップのファシリテーターを担当。

中原澪佳(なかはら れいか)

1991年生まれ。新潟県新潟市出身。

一般社団法人 SOSOTEC 共同代表。主にワークショップでの進行、ワークショップの企画を担当。
 また、おらってにいがた市民エネルギー協議会においてワークショップ、会議のファシリテーターを担当。


一般社団法人SOSOTECとは

まず、一般社団法人SOSOTECさんとはどのような活動をされているのかについて教えてください。

SOSOTECは、主にワークショップの企画と運営を行っています。
ワークショップやファシリテーションを通してひとりひとりが安心して対話できる場を作ること、そうすることで個人や組織や社会の様々な解決を促すことを目標に活動をしていますね。

SOSOTECのメンバーである私たちは、最初は社会人ゼミで知り合ったんです。そのあとまた別の市民団体で再会して、親交を深めて、というのがSOSOTECの始まりです。

社会人ゼミで出会った人たちと今では一般社団法人を立ち上げているなんて、びっくりですね。
ホームページを拝見すると、おふたりの紹介文に国際交流という文字が含まれていたり、実績の欄には国際協力などのグローバルなワークショップが目立ったりしていますが、SOSOTECさんと国際というのはなにか縁があったりするんですか?

はい。中原さんと僕は国際交流のファシリテーターを育成する大学のプログラムがあって、それの出身なんです。二人ともワークショップと出会ったのはそこが出会いだと思うので、国際理解のワークショップは大学の在学中からやっていました。

私は今も国際交流ファシリテーターという活動をしていますし、そういう意味では私達と国際交流は切っても切れない関係です。SOSOTECの最初の頃の活動は、留学生と大学生が交流するためのワークショップをやっていたことが多くて、今もやりたいと思っていますね。

学生の頃から関わっていたものに、今も同じような形で関われているということなんですね。
中村さんのお話にもあったように、SOSOTECさんはワークショップの企画も行われているとのことでしたが、ひとつのワークショップが出来上がるまでにどのような段階を踏むのですか?

三人で「こういう企画をやりたい」という方向性を決めて、それに関係しそうな方々にお声がけさせていただいて、会場を押さえるということをまずしますね。そこから企画、広報も自分たちで行って、当日を迎えるというような感じです。
ワークショップを行うまでの準備の段階が、一番やることも多くて大変です。

ひとつのワークショップを行うのにも本当にたくさんの時間がかかるのですね。
企画の準備を行うなかで三人の意見が衝突することはないですか?

そんなにないですね! SOSOTECは対話を中心とする団体なので(笑)


安心して対話を行うために

今までやってきた中で一番大変だったワークショップはありますか?

ワークショップと呼べるかは定かではないのですが、原子力発電所に対して反原発の意見をもっていらっしゃる方々の集まりの中で、その方たちが意見交換をする場を担当させていただいたことがあったんです。
ただ、私たちの説明不足というのもありますが、やっぱり意見交換をするということに対してすごく抵抗があるもたくさんいらっしゃって。そういう場を設けること自体に懐疑的になられる方も多く、収拾がつかなくなっていく場面があったときが一番大変でしたね。

今河田さんがおっしゃっていた原発をテーマにしたワークショップは、ワークショップという方法そのものに馴染みのない参加者の方にワークショップをやることの難しさを実感した会でした。だからこそ、やる意味はすごくあるかなっていう風に思ったんですけど、やっぱり大変ではありました。

確かに、意見交換って自分を周りに開示する行為でもありますし、抵抗がある人が一定数いらっしゃるのも頷けますね。
そういった、ワークショップに慣れていない方が参加しやすい場づくりをするためにSOSOTECさんが心がけていることをぜひ教えてください。

まずは話し合いのルールを設定するっていうのがあります。
あとは、話し合うメンバーがどういう人なのかお互いにある程度わかった状態で話し合いを始めるために、話し合いの前にアイスブレイクを混ぜていくとか、そういうところを意識していますね。

やっぱり安心して対話ができる場所っていうのを考えたときに、その会場の雰囲気によっても話し合いの仕方は変わると思うので、会場の雰囲気づくりに時間をかけます。
あとは、今メインファシリテーターといって、前に立っていろんなことを説明する役を河田さんがやってくださるんですけど、その河田さんの進行の仕方というか、ファシリテーターとしての立ち振る舞いによっても話しやすさが生まれてる感じは個人的に見ていて思います。気をつけなきゃいけないところです。

話し合う人に対して直接的にアプローチをするだけでなくて、話し合う人たちのいる場所などを通じて間接的にもアプローチされているんですね!
私自身、話し合いに向けて委縮していた心がアイスブレイクがきっかけでほどけたことや、ファシリテーターの方によってこの温かい空気が生まれているなと感じたことがあるので、今思えばそれは対話がしやすいように施された工夫だったのだという気づきがあります。

……あの、河田さんの紹介文を拝読したときから気になっていたんですけど、SOSOTECキャラクターとはなにかお伺いしてもよろしいでしょうか?

はい、わかりました(笑)
SOSOTECのホームページを見ると自己紹介のところにイラストがあると思うんですけど、それがSOSOTECキャラクターですね。誰にでも描けるようなイラストなんですが、ワークショップを行う際はプリントの周りとかにちょっとだけ描いたりしています。

なんともゆるくてかわいいイラストです

初めて見たときからゆるくて温かみがあってかわいいなと思っていました!
こういった親しみやすいイラストがプリントにちょこんとあるのも、場に参加している人の心をほぐすきっかけになりそうですね。


いろいろな話し合いの場をつくる

ここまでSOSOTECさんが過去にやってきたことをお聞きしてきたんですが、これからは未来のお話について少しお聞きしたいです。
まず、今後挑戦してみたいワークショップはありますか?

このSOSOTECが始まるときから話してたのが、いろんなところで話し合いの場を作りたいということでした。常にやりたいと思いつつ、まだ実現の段階まで行ってないんですけど、今のところ場所の候補として出ているのがライブハウスです。話し合いの場がないところというか、まだワークショップが行われてなさそうなところでなにかやりたい、みたいなところは結構ありますね。

本来音楽をかき鳴らす場で、あえて腰を据えてお話をしてみることでなにか面白い化学反応が生じそうですね! ライブハウスでのワークショップ、気になります。
中原さんはいかがですか?

ちょっと倫理的な話だったり、日常生活の中で軽く話すのが難しいような議題をテーマに、今ワークショップを行っていまして、これを2ヶ月に一回とか3ヶ月に一回ぐらいのペースでやることに挑戦したいですね。
例えば政治的な話題とか、憲法についての考えとかの話って、友達同士で気軽にできる話題ではないという風に私たちは思っているんです。でも、それをもっと気軽に話せる場所っていうのが必要なんじゃないかとも考えています。なので、「この空間だったら何を話してもいいよ」っていう場所を作ることで、そういう話が気軽にもっとできるようになったらいいなと思っています。

やっぱり僕も「これを言ったら人に批判されないだろうか」とか、「こういうことを喋ると変な人だと思われるかもしれない」とか、そういうことにずっと包まれてる部分はあると思うので、同じことに悩んでいる同じ目線の人と話せたりする場づくりっていうのはSOSOTECとしてやっていきたいところですね。

人と話しづらい話題って、そのぶん重要で大切な話題でもあると思うので、話し合うきっかけや機会を設けるというのはすごく意味のあることだと思います。
私は今大学でジェンダーについて学んでいるんですけど、周りの男友達はジェンダーの話に参加することにハードルの高さを感じていることが多くて、お二人がおっしゃったように「この空間だったら何を話してもいいよ」という空間が身近にあってくれたらいいのに……! と思いました。

 

では、これまで4年半ほど活動されてきたと思うんですが、活動してきた感想と、今後の展望がありましたらお聞きしたいです。

今までの感想は、やっぱりこの三人っていうのがいいことですね。
「一人だとやっぱりこの活動は絶対できないな」っていうところはかなりありますし、SOSOTECは序列を作らずに三人とも代表理事という形で活動しているんです。 そういうところもあって一人一人ができることをやってもらっていますので、とても助けられているというか、よかったです。
僕は若者支援みたいなことも仕事としてやっているので、そこの分野でも、喋るのがすごく苦手な人等に向けた活動としてもっとワークショップを行いたいというのが今後の個人的な展望です。もっと連携していきたいですね。
あと、さっきも言いましたが、ライブハウスとワークショップをね、やりたいなと思っています。

そうですね。私もこの三人だから活動できているっていうのは日々本当に感じていて、最近はそれを周りの方にも言っていただけることが多いんです。他者からの評価がなんとなく聞こえるようになってきたことはすごく嬉しいなと思っています。
なので、三人で話し合いをして物事やワークショップを決めてきたことはこれからも続けていきたいですし、対話とか話し合いってものを通じて社会を作っていくことに、SOSOTECがこれからも関わりたいなと思っています。また、それを通じてちょっとでも社会を良くしていけたらとも思っています。

 


大学生へのアドバイス

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
最後に、大学生に向けておふたりからアドバイスをお願いします!

自分がやりたいと思ったことは臆せずやった方がいいです!
もちろん就活に役立つかどうかとかも大事かもしれないんですけど、なにが就活とか仕事に活きてくるかっていうのは本当にわかりません。なので、就活に活きるかどうかっていう基準よりも、自分が興味があるかどうかとか、自分がやってみたいと思うかどうかっていう基準で活動をするといいんじゃないかなって思います。

大学でやっていたことが社会人になってできなくなるとかはあんまりなくて、その気になったらやりたいことは社会人になってもできると思うんです。なので別に「今じゃないとできない」とか思わずに。
あんまりそこに気負わずに、根詰めずに、暇を楽しんでほしいです。

 


編集後記

全体を通して特に、おふたりの「この三人でよかった」という言葉が印象的です。インタビューの最中もとても仲が良さそうな部分を感じることができ、大人になってからこんなに人生に影響を与えるような関係性を育めていることがとても素敵だと思いました。私も、学生が終了して社会に出たとしても、人生の延長線上にこんな出会いが待っていたら良いなと思います。

コロナ禍で人と人との距離が一度大きく離れたからこそ、対面で話し合う場や人と人とが相手の目を見て対話する空間の価値は、前よりも大きく質量を増したのではないでしょうか。また、気軽にテキストでのコミュニケーションがとれる現代だからこそ、文章ではなくその人の生の声でやりとりをする対話というものは、一層重要な意味を持つものになっていくのだと思います。

そんな空間を安心してひとりひとりが発言できる場にデザインするSOSOTECさんにお話を聞くことができて私自身とても有意義な時間を過ごすことができました。

この記事を読んで一般社団法人SOSOTECさんに興味を持った方は、ぜひ以下のリンクから今後の活動をチェックしてみてください!

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