株式会社U・STYLE 松浦柊太朗さん|鳥屋野潟のほとりで集う「潟マルシェ」主催

いつも記事を読んでくださりありがとうございます!今回は社会人インタビューです。

今回インタビューにご協力いただいたのは、潟マルシェを運営されている松浦柊太朗さんです!

松浦さんが勤めるのは、株式会社U・STYLEという鳥屋野潟のほとりにあるデザイン会社。企業、自治体、社会、地域、環境、人、目指したい未来などを対象として、デザインを手段とした課題解決や価値創出を行っています。

松浦さん。潟マルシェを運営している様子。

その取り組みの一つが、潟マルシェ。鳥屋野潟のほとり「ユスリカの森」で、毎年5月から10月(8月はおやすみ)の第2日曜日に開催しています。

新潟のローカル野菜や雑貨、フードトラックなどさまざまな出店が行われます。鳥屋野潟の自然を楽しめるアクティビティも行われています🌿
※マルシェとは、フランス語で「市場」を指す言葉。(Wikipediaより)

潟マルシェの様子

潟マルシェのはじまり

早速よろしくお願いいたします!まず潟マルシェについてですが、私は編集長のともつんに誘われて2021年の10月に初めて参加させていただきました。海外の映画に出てくるワンシーンのような、形容し難い感覚を受けました。

そんな潟マルシェのキッカケや着想の経緯などを教えていただけますでしょうか?

潟マルシェは、U・STYLEの代表の着想をもとに実現したイベントです。2015年から行っています。

地域にある魅力や価値を、地域の人とデザインをすることで磨いて発信しようという思いで始めました。

例えば、昔はたくさん作られていたけど職人の減少により伝統が途絶えてしまいそうな郷土玩具などを昔ながらのデザインではなく、現代の感覚や生活にもフィットするようにリデザインをしてみました。
もちろん従来の伝統的なものも素敵なのですが、違う視点からも光を当てて、技術や文化をつなぐきっかけをつくるということをしています。

他の事例だと、地元の自然栽培農家さんの素材を使って地元のベーカリーが作ったオリジナルのパンに、僕たちがパッケージデザインをして販売したり、
福祉事業所のみなさんのできることや得意なことを生かして、一緒に焼き菓子や雑貨などの商品開発をしたり。

地域にもともとある魅力や地域の方々がつくっているものと、U・STYLEのデザインがコラボレーションしながら、地域の魅力を再発見できる場にしようと、地域のみなさんと一緒に、本当に小さく始めたのが最初の潟マルシェでした。

地域がもともと持っているけど見えづらくなっていた魅力を、磨いて引き出し、再発見する目的があるのですね。

自然豊かな鳥屋野潟

企画・運営の中で難しかったこと

そんな潟マルシェなのですが、企画・運営をする中で苦労したエピソードはありますか?

やっぱり最初の頃はお客さんがすごく少なかったです。
潟マルシェ自体がほとんど認知されていなかったので、出店者を探すのも本当に苦労するという感じでした。

だから、最初は週末に各地域で開催されている屋内外のイベントへ行って、潟マルシェでご一緒してみたいなと感じる方と「僕たちはこういう活動をしています!」と紹介しながら、「よければご一緒しませんか?」と声掛けを行っていました。『足で稼ぐ』という感じでしたね。

そのようにして色々繋がりを作っていくことでお互い理解し合って、潟マルシェの活動に共感する人たちが出店してくれるようになりました。

関わってくれる人が増えてそれぞれが情報発信をしてくれたので、お客さんも少しずつですが増えていくようになりました。
それでも立ち上げてからしばらくの間は、出店者とお客さんを増やすことに苦労しました。
出店者が増えればその分お客さんにもたくさん来てもらわないと商売にならないので、特に集客は頑張りましたね。

あと屋外でやっているので、天候が悪いと商品が傷んだりロスが出る可能性もあります。そういうときはできるだけ早く開催判断をして、みんなが大変な思いをしなくていいように心がけています。

他にはハプニングがあったときほどポジティブに考えるようにしています。ハプニングを否定したり怒ったりするのではなく、状況を受け入れながら、運営スタッフや出店者のみなさんに相談もして、一緒に乗り越えるようにしています。潟マルシェは本当に皆さんに支えられているんです。

ありがとうございます。
足で稼いでいく中でできた繋がりがその次の繋がりを生んだり、悪天候やハプニングが起こった時にその繋がりの強さが大切になってくるのですね。すごく良い循環だなと感じました。

潟マルシェに人々が集う様子

そうなっていると嬉しいです。
やっぱり直接顔を合わせて、お互いを理解したり、空気感も含めて感覚を共有できることはすごく大事なことだと思っています。

潟マルシェに出店を希望する方とは、出店する前に必ず1回直接お会いしてお互い思っていることや、「自分たちの潟マルシェはこういうことを大事にしていますよ」ということを伝えています。

逆に出店をされる方・したい方の活動や思いもお聞かせいただいています。それがあるから「来てみたら全然思ってたのと違うじゃないか」ということは少ないですし、何かあった時に協力し合える関係になるのかな、と思っています。

ありがとうございます。出店者側と潟マルシェそれぞれの思いをすり合わせるということにかなり力を入れてらっしゃるということで、裏側が見えてとてもワクワクしました!

学生の出店「意志ある挑戦を後押ししよう」

出店に関連して、今回の潟マルシェで学生の出店が見られたのですが、いつから学生も出店できるようになったのでしょうか。

出来ないようにしてたとか出来るようにしたという意識はなかったのですが、、
ただ去年は特に、潟マルシェに参加してみたい新潟県立大学の学生の方が、複数いらっしゃって、それぞれ何か意志を持ってチャレンジしていることが伝わってきました。

学生さんのチャレンジの場所にもしてみようかなと、去年辺りから意識するようになりました。今は、参加の希望があって良い形でご一緒できそうであれば、学生さんが参加してくれるのもいいなと思っています。

何か社会の課題を感じていたり、自分の思いがあって取り組んでいることは、年齢関係なく誰にでもあると思っています。それを自分の趣味の範囲に収めるのではなく、より社会に向けた活動をしたいと思っている方も多いと思います。
そういう多様な方が潟マルシェに(出店者として)参加したり、遊びに来てくれたりして、社会と接点のある場所になるといいなと思います。

イベントに出てみると良いことや充実感もありますが、そうでないことももちろんあります。お客さんが立ち寄ってくれなかったとか、伝えたいことを伝えられなかったとか。
うまくいく事もそうでないことも、学生時代からたくさん経験することで、その先に繋がってくるものがあると思います。

学生にもチャレンジの場所を提供できているという部分が潟マルシェにはあると感じました。

新潟県立大学の学生がハーブ石鹸のワークショップを出店している様子

潟マルシェのホームページに、「出店者・出店希望の方はこちらから」という箇所があって、その中にマルシェを構成する人や物に対しての選択基準を6つほど挙げています。最後の項目に「意志ある挑戦を後押ししよう」とあるんですよ。
そういう気持ちを元々持っていたので、学生さんとのコラボレーションも後押しできたらと思います。

やはり、元々チャレンジを応援したいというような思いがあったのですね。

そうです、そうです。
22歳からこの活動を始めて、24, 25歳のときに同世代で自分のビジネスをしている人がポツポツ周りにもいて、彼らが出店してくれました。
「若い世代の自分たちみんなで頑張っていこう」「同世代で頑張ってる人たちの一歩のチャレンジの場になればいいな」と思っていました。

現在は、視点も変わってきて、同世代のチャレンジだけでなく、学生の方や新しくビジネスを始めたい方に、商品や活動の想いを社会に発信する場として使ってもらえたらと思うようになりました。

発信する場として使ってほしいということに関連して、潟マルシェでは「表現が許される場でありたい」と考えています。
そのように考えるきっかけは、僕が数年前にコスタリカとアメリカに行った経験にあります。そこでは路上パフォーマンスをしている人がたくさんいたんです。

車の信号待ちの間に道から出てきてフラフープをして、信号が青になる少し前に「よかったら小銭入れてね!」みたいな(笑)
やっぱりフラフープってなかなか「ブラボー!」とはならないけど、フラフープをすること自体に誰も文句を言ってなかったんですよね。

例えば、歌を歌ったり、踊ったり、フラフープをしたり、そういう表現活動をすること自体をみんなが認めて、「やってもいいよ」と言っている社会の方が居心地がいいなと思いました。
表現活動に寛容である社会も僕はいいなと思ったので、自分たちのマーケットも表現をすること”を含めて後押しして、寛容でありたいなと思っています。

ありがとうございます。
同世代でビジネスを始めていた方々を応援するというはじめに持っていた思いが、今は意志ある挑戦を応援するという思いに変化していったのですね。

ビジネスだけでなくアートや楽器といった表現者の方々にも表現する場を提供できることが、潟マルシェの一つの役割であり、素晴らしいところですね。

新潟市内で活動する絵本作家・イラストレーターの西山りっくさんが鳥屋野潟をモチーフに描いた絵

潟マルシェの今後の野望

潟マルシェの今後の野望についてお伺いしたいです。

あんまり大きくしたいという気持ちは今はなくて。
やっぱり自分たちでできる範囲は限られてますし、できることをやるしかないのですが、小さくてもまずは続けていくことが第一かなと思います。

定期的に潟マルシェに関わってくれるみなさんに会えるのはすごく嬉しいことですし、出店者の皆さんも潟マルシェで買い物をしたり、船に乗ったり公園の中をちょっと歩いてみたりしています。
そういう月に1回のみんなが集まる場みたいな感じで、この場所が続いていったらいいなと思ってます。

そういえば先日、ある出店者の方から嬉しい話を聞きました。毎月潟マルシェにそのお店のお茶を買いに来てくれるお客さんが、(潟マルシェの)シーズンオフの冬の期間に直接お店に足を運んで買いに来てくれたと。

新潟の素敵なものや魅力に出会える機会が、潟マルシェで月に1回しか楽しめないわけではありません。出店者はそれぞれお店やネットショップを持っているので、日常的にそのお店に足を運んだりその人に会いに行ったりすることができます。

潟マルシェで出会ったものが日常の一部になっていくっていうのも、理想の形かなと思っています。

鳥屋野潟にはどのような可能性があると思いますか?

潟マルシェも鳥屋野潟のほとりですし、U・STYLE自体鳥屋野潟の横にあるので鳥屋野潟にすごく関わりが深いです。

昔は水を飲んだり泳ぎ回って遊んだり、魚をとって卸してたりすごく豊かな場所でした。でも、高度成長で大量の生活排水が流れ込んで汚くなった時代があって、特に僕らの親世代は鳥屋野潟に汚いイメージを持っているんです。
今はまた水質が改善して綺麗な状態になってるのですが、やっぱりまだまだ鳥屋野潟は人との接点が少ないです。

潟マルシェが鳥屋野潟と新潟に暮らす人たちとの接点になって、関わってくれる人が増えると鳥屋野潟もより良い場所になると思います。
潟マルシェを鳥屋野潟でやることにこだわってるのは、そういう思いもあります。

ありがとうございます。
今シーズン、私は途中からしか行けなかったのですが、来シーズンは初回から行きたいと思います!

編集後記

最後まで読んでいただきありがとうございました!
潟マルシェに対する、松浦さんの熱い思いや苦労がひしひしと伝わってきました。
私が最も印象に残ったことは、『意志ある挑戦を後押ししたい』という松浦さんの心意気です。何か頑張ろうとしている人にとって挑戦しやすい環境があると、一歩踏み出す勇気を出しやすいと思います。そのような環境づくりや、寛容でありたいという松浦さんの心意気に胸打たれました。

松浦さんのインタビュー記事は後編もこれから投稿します✨後編は松浦さんご自身についてあれこれ聞いてみました!是非ご覧ください!

社会人インタビューに込める思い

生き生きと働いている新潟の社会人を取材することで、学生に新潟県の可能性に気づいてもらいたい!そんな思いが社会人インタビューに込められています😊

学生視点での新潟に留まらず、社会人視点からの新潟も知る。そして、今まで気づかなかった新潟自分自身を発見していきましょう💡

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